エレナ・フェランテのナポリタンシリーズ終了と紙の本を読むことについて

12月の初めにElena Ferranteのナポリタンシリーズの最終部「The Story of the Lost Child」を読み終わった。残念ながらまだ日本語には訳されていないし、英語や別の言語でも読んでいない人もいるだろうから詳細や結末は伏せておくね♪ でもでも、ひとつハッキリと言えるのは、Elena Ferranteは素晴らしいストーリーテラーだということ。

エレナ・フェランテ 4部作

最後の50ページくらいに差しかかったとき、妙な焦燥感に襲われた。この一冊を読み終わったら、もう本当に終わりなんだ、っていう寂しさ。一冊の長編小説にのめり込んだことのある人ならわかると思う。最後のページを閉じた時の、あの寂しさ。心に穴があいてひゅうひゅうと北風が吹きこむようなあの感じ。エレナ・フェランテのこのナポリタンシリーズは4部作で、合計約1700ページ(英語)。4部に分かれているけれど、彼女にとっては大きな一つの作品なんだって。その通り、この4部を通してリナとエレナが6歳の頃から60代後半までのストーリーが色濃く描かれている。第一部の第一章では、60代半のリラが突然姿を消してしまう。自分の所持品、写真、全てと共に消え去ってしまう。そして2章から始まる長い物語は少女の二人に出会い、読者は小学校、思春期、20代の冒険、恋愛、結婚、離婚、キャリア、イタリアの当時の社会的・政治的背景、熟年(?)… の全てを主にエレナの視点から経験することになる。物語はエレナの一人称で語られているので、自然とエレナ自身と自分が重なってしまうことが多かった。一方で、時にはリラになり、エンゾになり、アントニオになり… それぞれのキャラクターの感情に同調してしまうこともあり。そうさせてしまうところが作者の語りの強さだな、って感じた。

私は読書感想文がとーーーっっても苦手なので、感想はこの辺にしておいて。

4部作を読み終わって、作者のことをもっと知りたい、って思った。以前にも書いたけど(→☆)、エレナ・フェランテは公には姿を表していない謎の人物。その彼女(彼、かもしれない)がメールでのインタビューでとても興味深いコメントをしていた。「最高の読者っていうものは、本を生きているものとして扱う人だ。そんな読者は、文章の中に自分自身を投げ入れてしまうだけでなく、自分の感受性と想像力でもって物語の世界を経験する責任と権利を自ら生み出すことができる。」「本というものは、一旦本として書き上げられてしまえば、その後は作者を必要としない… もし一冊の本がその物語の中で読者の質問に答えられない場合、それはその作品が良くないものであるか、または読者の質問そのものが作品を超えてしまったものかもしれない。…一冊の本の作者というものは、その作品の中にのみ存在するものだ。… 書くという行為そのものは、読み手を必要としていないし、それこそが私自信の自由なスペースなのです。」

ナポレオンシリーズの余韻に浸りながら、しばらくこの物語の登場人物が頭の中から離れなかったヨ。

この間、「紙の本を読むということ」についての面白い記事を読んだ。最近では、キンドルを始め、ネットでニュースや記事を読んだり、「デジタルのカタチ」で読み物をする人がずいぶん増えた。入手が容易いという理由で、私自身も和書はキンドルに落として読むことも多い。ところが、実際に「紙の本を手にとって読む」ということ(行為)のもたらす効果について、科学的に色々と証明されてきていることがあり、コレが興味深い。そして納得できてしまう。

この記事のよると:

  • 一日6分間、紙の本を手にとって読むことで68%のストレスが減るらしい。
  • 毎日読書を続けているひとは、ほとんど読書をしない人の2.5倍「アルツハイマー」になりにくい。
  • キンドルでミステリーを読んだ人は、ペーパーバックで読んだ人と比べると、話の筋を覚えていないことが多い。
  • インターネットが普及する前は、脳は直線的に読解をし、本のレイアウトなどを含めてどこにどのような情報があったのかということを覚えていることが多かった。
  • デジタル文章が普及してからは、読書パターンが意味を深く理解するよりも「スキミング(飛ばし読み)」という行為に置き換わってしまった(Fパターンとも呼ばれるみたい。タイトルを読んであとはFの形に飛ばし読みするんだって)
  • 紙の本を読む人たちの「眠りの質」は良い。

でね、一日に30〜45分、コンピューターやデジタル機器から離れて紙の文章を読むとね、脳が本来の「Linear Reading」という読み方にもどり、ストレスが軽減し集中力が増すんだって。それから継続的に読書をしている人は「感情移入や物事に共感する」という力を養えるんだそうです。紙の本を読む人に比べると、iPadやキンドルばかりで読書をしているひとたちは、他人の気持ちがわからないとか感情移入できないっていう傾向がわかってきているらしい、よ。

長くなりましたが。 紙の本を手にとって読むということにリラクゼーションの効果がある、読んだ内容をよく覚えている、というのには納得できる〜。と思ったのでした。

さて2月の始まり!元気に頑張ろう〜♪

 

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うつろいのなかで

夜が長くなり、どんよりとした雨の日が増え、朝晩がぴりりと寒くなってくる11月。周りの木々や草花も冬に備えて静かになっていくのがわかる。不思議なもので、自分の気分や体も同調するように静かになることが増えてきた気がする。シンクしているのかな。

光と影

長い雨の後に差し込む光を嬉しそうに拾い集めたりするのも、今の季節。私はお日様さんさんの夏の間は殆ど音楽を聞かない。なのに、秋になってじとっとした日がやってくると、音楽を探す。海沿いを歩きながら水平線を眺めることが増える。

何を頑張ったわけではないけれど、「自分へのご褒美〜」と、とってもとっても久しぶりに大好きな暮しの手帖をオーダーしてしまった。季節の美味しそうなレシピあり、暮らしの中の一工夫のお話や旅の話もあり、週末ゆったりとしたときにこういう雑誌の活字を追うのってなんて幸せなんだろう。日本の雑誌、the BEST!!! これぞ娯楽だ。ご、ら、く☆

暮しの手帖

栗のお菓子がいっぱいのっていて、美味しい栗を食べるために帰国したい気分になってしまった。そうそう、暮しの手帖は海外からでも購読できるんだよぅ〜。どうしようかな〜って考えちゃう。アマゾンで一冊ずつ購入してもあまり値段は変わらないし、アマゾンのほうが発送が早いかも。。。どうしようかな〜。

そうそう、何のきっかけだったか忘れたけれど、もう2ヶ月ほどコーヒーを飲んでいない。朝はほうじ茶か緑茶。そして、最近、職場で毎日飲んでいるのが「Yogi Tea」の Green Tea Citrus Slim っていうの。美味しいよっ!色んな種類がある中で、私はずっとコレ(↓)ばかり。Slim、って書いてあるけれど「痩せる」お茶ではなくて、抗酸化作用があってストレス解消効果あり、なんだそうで。何より、味が好き。レモングラスの味がするー。ほっとするのです。とっても♪

Yogi Tea

普通のお茶よりもほんの少し高いかなぁ〜って思うけれど、これもほんの少しの贅沢。そうだそうだ、コーヒーをお茶に変えてから、あまったる〜いお菓子を食べるのが減ったと思う。コーヒー飲むと、一緒にクッキーとかマフィンとかドーナツとか…食べたくなるもーん。

うちのモサ男。今朝も何かを察したらしく、家の中をウロウロして私のところに駆け寄ってきて「だっこだっこ〜」とねだったり、ベースメントに隠れたりしていた。どうしたんだろうなー。

たそがれる。

一時的なもので、昼にはすっかり普通だったみたいだけど。何を感じているんだろう。そうそう、ここ最近、通勤途中に「牡鹿」を頻繁に見かける。春に生まれたのが、すっかり大きくなって胸板厚く角もガッツリ。私が自転車で横を走り抜けてもびくともしない。でさぁ、あの牡鹿たち、とても「臭う」。少し離れていても臭いがわかる。あれって、メスにアピールするフェロモンの匂いなのかな。すごく強い野生の匂いがする。。。オナゴタチはあんな匂いにひかれるのー。Gusがおかしいのもあの匂いのせい?

見たいものや聞きたい音楽や食べたいものが自然なペースでうつろう季節。四季があるのってありがたいなぁ、とふと思った1日でした。

 

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エレナ・フェランテ:The Story of a New Name

とても久しぶりに本を読んでいて泣いた。おそらく英語の本を読んでいて泣くのはこれが初めて。自分でもびっくりした。

私を泣かせたのは、ちょっと前に紹介したElena Ferrante(エレナ・フェランテ)さんのNeapolitan NovlesのシリーズのBook 2: The Story of a New Name.

Elena Ferrante Book2

私にしては驚くほどの速さで470ページもある第2部を読み終えた。土曜の朝、朝ごはんを食べながら最後の30ページあたりを読んでいて、涙がこみ上げてきた。声をつまらせて泣いてしまった。本を読んでいてひっくひっくするほど感情的になったのって、浅田次郎の「ぽっぽや」を読んだ時以来かもしれない。映画でも本でもめったに涙しないのに、ある一文を読んだ時にぐわぁ~~っとこみ上げてきた。不思議なものです。

前の記事でも簡単に説明したけれど、このフェランテさんのナポリタンシリーズ(4部作)はエレナとリラの友情を巡る物語。私が読み終えたこの第2部は、リラが16で結婚をしてから、全てを捨て子供だけを連れて出て行くところまでのストーリー。まだ日本語に訳されていないし、これから読む人もいると思うので詳細は書かないけれど、第二部では10代終わりから20代前半のドラマがある。ナポリタンシリーズは「フィクション」として紹介されて入るものの、実話を元にして書かれたとしか思えないような描写が溢れている。第1部を読み終わったところで、このエレナとリラの二人にすっかりどっぷり感情移入してしまっていた。若い二人にどうにか幸せが訪れるようにと、願っていたり。

相方にそんなことを話すと、それは書き手が素晴らしいからだよ、と。よくよく見てみると、訳されたフェランテさんの英語の文章はとても読みやすい。そしてリズムが良い。エレナの心の声やリラの叫びが聞こえ、喧騒としたナポリの郊外の町の様子が肌に感じられる。第2部もクリフハンガー的な「ええっ!」っていう終わり方だったよ。

Elena Ferrante

嬉しいことに手元には第三部「Those Who Leave and Those Who Stay」があるのだ。うふふ♪ そして、この9月には4部(最終部)も出版されている。4部が出たときには、コチラのリタラリーマガジンやラジオでも彼女の作品のことで持ちきりだった。スポイラーアラートを見たり聞いたりしたくなかったので、徹底して避けていたけど(笑)。

第2部を読み終わって、人の人生ってドラマだなぁ、と漠然に思ってしまった。

誰か、フェランテさんの作品を日本語に訳してくれないかなー。もちろん、原文伊語から日本語へ訳したもの。出版されたら是非、読んでみてください~。

*参考までに:

英語:エレナ・フェランテ ナポリタンシリーズ2部
The Story of a New Name: Neapolitan Novels, Book Two

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