Oban、お里に帰る。

ぽんっと、空から降ってきたようにして突然現れたObanは、さぁっと風に吹かれるようにして今朝、お里に戻っていった。

かわいいお豆の様な「おいらOban」っていう子だった。

一ヶ月の間に二度も、こんなにも胸が張り裂ける決断をしなきゃならなくて。はぁ。

掃除機こわい。。。

理由はふたつ。うちにやってきたときに、おそらく已にObanは病気をもっていたこと。「Puppy Strangles (Juvenile Cellulitis)」という生後3週間から4ヶ月の子犬にのみ見られる、稀な病気。遺伝性のものともいわれているそうです。もうひとつは、今の時点でとてもナーバスで怖がりで、外を歩くのを極度に嫌がること。

Obanの耳が目に見えてぐちゅぐちゅしてきたのが、うちにきて4〜5日目。それまでにも、少しひっかかることがあった。例えば、ご飯やおやつへの「食いつき」がボーダーテリアらしくないこと。そろ〜りとゆっくりとしか食べない。雑食でいつもお腹をすかせているボーダーテリアのハズなのに、この子はすごく偏食なのかなぁ、って思って見ていた。Gusも耳のかいかいやらぐちゅぐちゅはあったので、「ObanにGusのおさがりのベッドやおもちゃ(洗ったけど)を使わせたことが原因かも…」と、ひどい罪悪感にかられた。

読書中。。。

6日待って、ようやく獣医さんに診てもらったときにはリンパが腫れ始めていた。耳の感染症が原因でリンパが腫れているのか、耳は2次的なものなのか、を調べてもらうために検査もした。

結果、残念なことに、耳の炎症は病気の症状で、単なる細菌感染やダニではないって。この時点でリンパがクルミほどの大きさに腫れてしまっていた。

この病気は、目鼻周りや口もとに出てくることが多く、ぶつぶつが広がり膿をもち毛が抜ける。抜けたところには生えてこないこないことも多いそうです。Obanの場合は耳の中にそれが広がり、膿が破裂してぐちゅぐちゅしていたみたい。。。かわいそうに。すっごく辛かったと思う。

まだまだ読書中。

すぐに抗生物質とステロイドと耳の薬をだしてもらい、薬を飲み始めると、数日のうちに腫れは小さくなり、触れると少し「しこり」を感じる程度になった。加えてObanの食欲やエナジーレベルがぐぐぐっとアップ。「本来のボーダーテリアパピーのあるべき姿」に戻っていった。これはとても嬉しいことだった☆ 家の中でも外でも楽しそうに走り回り、いたずらをし、きらきらした目で「クッキーちょうだい」って私を見つめ、ケージから出てくるときはお尻をぷりぷり振って体全体でうれしさを表現し、お腹はぷーんとふくらんでかわいいパピーベリーになった。かわいくてたまらなかった。

元気になってもお散歩が怖いOban。音や人やとにかく周りの全てに敏感でナーバスになり、新しい匂いを嗅いだりすることもなくキョロキョロ。しまいには立ち止まってしまったり、人が「かわいいね〜」って挨拶してくれようとすると、がたがたと震えてしまっていた。

獣医さんの話の中で、おそらくObanはうちに来る前から具合も悪くて、十分に兄弟たちと遊んだり人に触れることもできなかったのかもしれない。慣れない環境に極度にナーバスになるのも病気だったせいかもしれないよって。

家の中や裏庭では、と〜〜っても元気で楽しそうに遊ぶのにな。

病気は薬を飲めばほぼ完治するらしい。でも、薬が終わるまでは最後の注射も打てず、他のわんこたちに会うこともできない。ただでさえ「怖がり」なのに、パピーにとってとても大切な「ソーシャライゼイション」の時期、精神的な発達の時期を逃してしまう。このことがPuppy Stranglesよりも心配になった。Obanに外の世界がどれほど素晴らしいかっていうことを、私が教えてあげることができるのだろうかって。獣医さんも病気よりもこのことのほうが深刻かもしれませんって。でも、Obanがもし他の穏やかな成犬や兄弟姉妹と一緒に成長することができたら、その環境の中で自然に自信を取り戻せるはずですよって。プロのトレーナーに頼ることなんかよりも、ずっと自然にObanらしさを取り戻せるって。

長く過ごせば過ごすほど離れるのが辛くなる。「かわいい」「寂しくなるから」だけで決めちゃいけない。命なんだから、私の気持ちの中のひっかかりをごまかしたりしちゃいけない。

理由をあげて繰り返し口に出しても、元気に走り回るObanを見ていると「きっと大丈夫」って思ったりして、気持ちがぶれて決められず夜も眠れなかった。心の中がごちゃごちゃしていて、一体どうしたいのかがわからなくなってしまって困った。でももし、次にObanが病院にお世話になることが起きたりしたら、「あぁ、この子はやっぱり何か持病があるのかな」って思ってしまうだろう。Gusを失って間もないこともあり、この不安は重すぎた。

迷いに迷い、今は辛くても、長い目でみたときにObanがお里に戻ることが、Obanにとっても私たちにとってもベストだろうって。

Obanと過ごしたのはまる三週間。一番かわいいパピーの三週間を一緒に過ごさせてもらったな〜。

Gusじゃない仔犬、Gusとはまったく違う子だったOban。Gusと比べたりせずにその子をそのまんまで大好きになれるんだっていうことに気づかせてもらったかな。

Gusが旅立ってちょうど一ヶ月です。Obanをブリーダーさんに手渡し、大泣きし、Gusへのお花を買いにいった帰り道、大きな虹が見えた。一瞬で消えてしまった虹だったけど、目の前にぱ〜〜っとかかった虹の橋にはっとした。次の出逢いを楽しみに待とうと思います。

 

Oban、広い農場で妹たちと思いっきり遊んで元気になあれ。

ありがとう、おいらOban!! We already miss you so much.

ごんたの旅立ち。

大きな花の満月の夜、ごんたは旅立った。

ごんたらしいな。

ごんたは柴犬なので、柴犬特有のデリケートさや気品をもっていた。

家の中や、オムツをされてオシッコをするのが嫌で、足がふらふらして立てなくなっても外に出たいといって夜中に何度も母を起こした。母が二階にいるときには、モモが母を呼びに行って起こしたらしい。昨日の夕方、父に抱かれて外の階段下までおろしてもらったときには、それまで下げたままだったしっぽを大きくブルンブルンと振ったんだって。それはきっと、父へのありがとう。

こどもの日に、妹二人の家族が集って皆で食事をしたときには、すすすっと円卓の下に忍び込んですやすやと眠っていたそうな。皆に囲まれて。きっとそれは、みんなへのありがとうの挨拶だったんだと思う。

ごんたは昔からひとへの挨拶は鼻先をちょんと撫でられるだけ、家族にだって抱かれるのが大嫌いだった犬。だけど、認知症が出始めた頃からは、母にすり寄ってきて胸と胸を合わせるようにして抱っこしてもらうと安心して泣き止んだんだって。

生きものがみんなそうなのか知らないけれど、今まで我が家で飼ってきたわんこたちは、死ぬ数日前になるととてもきれいになった。それまでの全てを落としてしまうように。ごんたも、見えない目は目やにでくっついていたし、歯もぬけきれないのがごそごそし、毛並みも毛羽立って白っぽくなっていた。それが、4日ほど前に両親とスカイプで話したとき、「すごくすっきりきれいやで」と言っていた。口臭がなくなり、毛が不思議ととてもツヤツヤとして。閉じたままだったまぶたがあいて、ガラスのような目で見上げてくるんよ、と母が言っていた。

昨夜、母が最後にトイレに連れ出してあげたとき、もう動かなくなった4本足でしっかりと立ち、ぶつかりながらも飛ぶように公園の方まで駆け足をしたんだって。連れ戻しにいってあげるとしっぽを大きく振ったそうです。母が抱き上げて玄関下の階段をふたつあがったところで、ごんたは二つ鳴き、そのまま永遠に目を閉じたそうです。

最後に外で走りたかったんよね。ってみんなで言った。その姿がきっと、毎晩寝ずにそばにいてくれた母へのありがとうだったんだろうな。

ごん兄ちゃんが大好きだった甘えたのモモは、一晩ずっとごんたのそばから離れなかったよと、妹が写真を送ってくれた。

もう一度、頭をくしゃくしゃとなでてあげたかったな。先週、一緒にタンゴを踊りに夢の中に会いに来てくれたのが、私へのあいさつだったんだろうなって思う。

27日の朝、きれいな着物の箱に大好きな毛布やおもちゃやスナックを詰め込んで、父の般若心経の写経を胸におさめ、たくさんの花に囲まれてみんなに見送ってもらったようです。虹の向こうで、先代ももちゃんメメちゃんといっしょに走りまわってね。

ごんた、ありがとう!