ローマで最後に訪れたのが「Centrale Montemartni・モンテマルティーニ美術館」。マシモが「ここはとてもユニークで面白いからっ」と連れて行ってくれました。建物だけをこうして見ると分かんないけれど、ここは20世紀のはじめに建設されたローマ初の発電所跡なんだって。
1950年後半から80年にかけて放置されていた古い発電所跡が一新され、カピトリーニの美術コレクションが一時ここに保管されたんだって。でそれを機に、1997年に「The Machines and the Gods」という展示が開かれて、反響が良かったもんでそのまま美術館になっちゃったそうです。
美術館の大きさも大きすぎず、人はめちゃくちゃ少なく、テーマがとても上手に簡潔にまとめられているなって思った。ここはマシモと一緒だったので、色んな話を聞かせてくれた。
面白いな〜って思ったのが、お葬式(?)に一般公開されたという彫刻。現在では亡くなった本人の写真を棺の上に飾る(?)けれど、それと同じようなアイデアなんだろうね。↑↑の彫刻は亡くなった本人とお父さんとおじいちゃん。つまり、本人がパパとグランパの頭を抱えているの図。 1世紀頃のものだそうです。
同じアイデアでファミリーフォト?
棺の収められたスペースの外側のレリーフなんだそうです。初期の頃は権力のある男性のみが、こうしてお棺用のレリーフなり彫刻を作ったんだけど、のちのち重要な人物の奥様を含めた女性も現れたみたい。顔の表情や髪型、身に付けているものなどを見て歩くのも面白いよ。
この美術館に収められているものの中には、上の様な個人の墓からの遺品もあれば、寺院跡やエスクイリーノの丘の庭や権力者のビラの跡から見つかったものなどもある。なんていうのかな、真面目で宗教色の濃いものではなくて、当時の権力者たちの贅沢品を垣間見ているようで楽しかった。
↑↑のモザイクも、当時のお金持ち(権力者たちお抱えのケータリングサービスをやっていた家、だったと思う)のお風呂場の壁に描かれていたもの(だったかな?)。素晴らしいデザインです。
ベッドの足(↓)にも精巧な細工が施されていた模様… 細かなデザインは抽象的なものではなくて、そこにストーリー性があって可愛らしい。
この部屋をぬけると、大きな機械が目の前に現れて彫刻たちがそばに並んでいた。
大きな機械のむき出しの鉄肌と紀元3世紀頃の彫刻の白い肌。
とても効果的で興味深いコントラストだと思う。
↓は「 Temple of Apollo Sosianus」の正面を再現したもの。ギリシャ神話に基づいているシーンなんだって:ギリシャとアマゾンの戦いのシーン。
一番左が馬に乗ったアマゾン。そのとなりにヘラクレス。中央にはアテナがいて、アテナの右隣にはニケ。神話のいちシーンとはいえ、女性の活躍する姿を見るのは気持ちがいい。
↓は「Fortune of Today」。ものすごーく大きな頭と足でした。スケールのせいかもしれないけれど、彼女を見つめていると元気が出てきました。「大丈夫」な気持ちにさせてくれる女神像だな。
大きな彫刻の表情も面白いけれど、棺などのレリーフに描かれたストーリーも興味深い。イノシシ狩りにお伴する犬たち(↓)。犬と人との歴史もずいぶん長いんだね。
このモザイクの中でも犬が登場。これはマシモたちが住んでいるサン・ロレンツォ地区で見つかったんだって。ココに行くまで知らなかったんだけど、サン・ロレンツォも小高い丘の上に位置するので、その昔には大きなビラがいくつもあったようです。
ね、この美術館に展示されているものたちとは、それほど距離を感じず接する気がしませんか?
イタリアを旅していると、今の時代、どれだけの富豪がどれだけ力量のあるアーティストを集めてお金をつぎ込んで頑張ったところで、ここまで洗練されこれだけのスケールの作品や建築物を生み出すことは不可能なのだろうな、って何度も思った。何百年、何千年の間に人が失った本質的なものってなんなのだろう。そういうテーマを追求している学者もいるんだろうね。きっとね。
そして、私たち3人ともがうっとりとしてしまった彼女。「ミューズの女神」。
石に肘をついて体を前にゆったりともたれさせている姿勢の彼女。その表情がとっても柔らかく微笑んでいた。彼女は私に微笑んでいる、って思わずに入られない視線です。
そんなミューズの女神の微笑みで、ローマの旅リポートをおしまいにしまーす☆
本当に長々と引っ張ってしまったけれど、お付き合いくださってどうもありがとう〜。いつか、私が訪れたスポットへ立ち寄る機会のある方の旅の参考になればいいな〜。
*お知らせ:写真の上でクリックすると写真が大きくなります。写真の外側でもう一度クリックすると閉じます。試してみてね☆
こんばんは!
お久しぶりです(^^)
芸術に普段触れることの少ない私ですが
お写真の彫刻たちにはうっとりしましたー!
凄く表面が滑らかに見えますね
実際にさわってみたくなります~
大きな足とかすごい!!
ローマの旅レポートもお疲れさまでした♪^^
フォレさん、おはよう~。
私なんてビクトリアに住んでいるから、芸術に触れることなんてほぼゼロよ~(ま、努力しないっていうのもありますが。。。)
彫刻ってね、本来は全て着色されていたんだよ。全て。長い年月の間に色が落ちて、今残っているものやレプリカは、ずべて白いんだけど。
頭だけが並んでいる列なんかは、色んな顔や表情があって面白いよ。彫りの深いマシモにも「そのまま彫刻になれるよ」って言って笑ってました。私の頭を彫刻にしても絵にならないもんなー(のっぺりで)。
最後まで付き合ってくださって、どうもありがとうねっ!
素敵な美術館ですね。
ロンドンにも昔の発電所を改装して美術館にしているところがあります。
でもそこは現代美術の展示がメインなので、あんまり私の好みじゃなくてまだ一度もいったことがないんですよ~
ここだったら私もじっくり見てみたい!
大昔って今ほど情報も簡単に手に入らない時代だったし、娯楽も少ない時代だったから、人間の想像力ってもっと豊かだったんじゃないかな、と時々思います。
この美術品たちはそんな想像力が豊かなアーティストたちの残してくれたメッセージみたいな気がします。
どれも本当に素敵ですが、私も写真を見せてもらった中では一番最後のミューズの女神が一番好きかな^^
Saoriさん、おはようございまーす!
へーっ、ロンドンにも同じコンセプトの美術館があるのですねっ。あぁ、いいなぁ。少し足を伸ばせば美術館や歴史的建造物が見られるなんて。
モンテマルティーニ美術館、オススメです。素人の私が言うのも何ですが、とても上手に「curate」された展示の数々だと思いました。マシモは公式ガイドになるべく勉強をしていて色んな事を知っているので、話を聞けるというのもプラスでしたネ♪
ほんと、与えられる情報が限られている環境では、生み出す力が育つのでしょうね。フィレンツェの大聖堂の美しさも、バチカンの溢れる美術品のきらびやかさも、ローマのビラに飾られていた彫刻たちの気品も、現代人には再現できないものの様に思います。Saoriさんの仰る通り、過去のアーティストたちからのメッセージだと思うと、浪漫のようなものを感じます♪
長々とリポートの付き合ってくださって、コメントもたくさん残してくださって、ありがとうございます!さて、またひっそりビクトリア生活にもどります♪
美術作品というよりpapricaさんの写真の撮り方がすごくうまいなあと改めて感じました〜。
素敵!
harubocchanさん、どうもありがとう〜。
とっても面白いコンセプトだと思ったよ。古代と近代が重なりあうことで生まれてくる「時間性」みたいなもの。
機械部分だけを見ていても本当にたのしいのー。
なにここ?!
知らないわーっ(くわーっ)
行きたい行きたい行きたーーーいっ!!
ぜぇはぁぜはぁ。
次回、ローマへ行ける時に必ず行きます!きりっ
いつになるやら・・・。
それはともかく、ギリシア・ローマって、本当に本当に
「異界から来たのじゃないか?」という説があるくらい、
ちょっと異次元レベルですよね。
正直言って、その後の、ヘレニズムの後継者たるヨーロッパの
芸術なんて、これらに比べれば模倣だったり小粒だったりする。
越えようとして、越えられない壁なのも頷けるわ。
なんていうか、時を超越してるんだよね。陳腐化しないの。
それだけ、彼らの文化や社会が成熟したものだったのだろうと
思うけど・・・何千年も前に、っていうのが不思議だわ。
最後の女神さんのしぐさも、モダンだし、優美だわ。
今見ても粋だもん。あー実物を見に行きたいなぁ。
真木さん、おはよう~。
「くわーっ」って、真木さんてば。。。 吠えてるの?
うん、是非、ローマにお立ち寄りの際には行ってみてねっ。
上手く言葉に出来ないところを、真木さんに表現して頂いてスッキリです。そうなんよね、超えられない壁、異次元レベル、陳腐化しない、その通りです。
何千年も昔にあの洗練された美意識と技術とスケール。前例のないところに生み出されたオリジナルの美。誰かさんのコピーではない、内から湧き出たクリエイティビティなんだと思うと鳥肌がたちます。
レリーフなどに描かれた日常のシーンやミトラの神々って、真木さんの言う「へたうま」なタッチだよね。とてもチャーミングでそのまんまっぽいところが逆に新鮮です。
ミューズ、私達3人とも虜になっちゃったよ。あの微笑は一見の価値あり!