観光初日に予想以上の人ごみにノックアウトをくらった私たち。そんな情けない私たちを気づかって、マシモとフランチェスカが人気の少ないところを選んでDay Trip に連れて行ってくれました。目的地は「Villa Adriana・Hadrian’s Villa・ヴィラ・アドリアーナ」。ローマの街から車で40分ほどのところにある「Tivoli・ティボリ」というちいさな街の麓。古代ローマの帝王の一人「ハドリアヌス帝(Hadrian・Hadrianus)」の避暑地・別荘が、このヴィラ・アドリアーナ。ユネスコの世界遺産にも登録されているらしい。この日は祝日だったのに、人も少なくってのんびり♪
日本でずいぶん注目を集めていた漫画「テルマエ・ロマエ」を読んだ人なら、この「ハドリアヌス帝」の名前を聞いてピンとくるでしょ?実は私も、今回ローマに行く前に「きっと飛行機で寝れないだろうし。。。」と、Kindle Paperwhite
にテルマエ・ロマエのキンドル版を入れていったのでした♪ 正解〜。漫画でサラリと紹介されているハドリアヌス帝の別荘、とにかく広かった!あれは別荘というよりも、小さな「町」です。
ティボリの町の麓であるこの辺りは、夏でも涼しく、避暑地としては古代から上流階級の人たちに人気があったらしいヨ。公式ガイドの勉強をしているマシモが、一つ一つの建物を詳しく説明してくれた。訪れる遺跡や目にする美術作品や作家について、ほんの少しでもそのバックストーリーを知っているのと知っていないのとでは、体に沁み込んでくる感覚・感動がずいぶんと違うんだな、って実感した(もっとちゃんとローマの歴史を学んでいけばよかったー!)
私は恥ずかしいことに、このハドリアヌス帝についてはテルマエ・ロマエで初めて知っただけ。家に戻ってから色々と読んでしまった。ハドリアヌス帝って、争い事よりも文化をこよなく愛した帝王だったらしいよ。それは、このヴィラ・アドリアーナの建物のスタイルや装飾からもみてとれる。設計にとりかかったのが118年、完成が133年だそうな。素晴らしい別荘や宮殿を作って、完成を見ずに亡くなってしまうっていう話はよくあるけど、ハドリアヌス帝は彼自身の作品であるこのVillaを十分に楽しむことができたらしい。
この細長い池(?)の向こう側にはなだらかな丘が連なってるのですが、地形的にココは平坦ではないのですね。つまり、これだけの池を作るために平らな基盤を作らなきゃいけなかったわけでして。池の下側のスペースには奴隷や召使たちの通路と部屋がぞろぞろと二階になって並んでいた。
そして、コレ(↓)はお風呂。大浴場。
古代ローマ人のお風呂好きは有名だけど… このスケールよ。お風呂場にはお湯を張っているお風呂だけでなく、スチームバスやクーリングダウンの部屋、床下をお湯が通る床暖も施されていたらしい。日本では弥生時代で、せいぜい稲作が始まったという頃、これだけの技術で美的センスを取り入れた建築物を創りあげてしまったという事実にびっくりです。言葉を失ってしまう。
ヴィラ・アドリアーナの別荘には約30の部屋・建物があるらしい。で、一つ一つが大きいの…浴室も、この(↑)以外に小さいものがあと一つか二つあったよ。
で、これ(↓)はダイニングルームの前に広がる水辺(そ、向こう側に見えるのがダイニングだよ)。当時は片側にはエジプト、反対側にはギリシャのスタイルを取り入れた大理石の彫刻が並んでいたそうです。
このダイニングは、直接陽が当たらないように北を向いているそうな。夏の暑い日でも常に涼しげに、ナイルの川をも思わせる水辺を見ながらの食事ができるというわけ。粋だなぁ〜。
私たちが訪れたときは、「Marguerite Yourcenar・マルグリット=ユルスナール」の展示が催されていた。
ユルスナールの有名な作品の一つ、「ハドリアヌス帝の回想
」にちなんだ展示でした。フランチェスカ曰く、このハドリアヌス帝の回想は、ヨーロッパでは出版史上二番目のベストセラーなんだって。ユルスナールの視点で描かれたハドリアヌス帝像が素晴らしく美しいらしいよ。 (※手頃なお値段の英語版を相方がただいま熟読中→☆Memoirs of Hadrian)
約二〇〇〇年前に設計されたヴィラ・アドリアーナは、見ての通り、現在は煉瓦がむき出しになり崩れ落ちているところもある。でも、想像してみてね。当時は、壁という壁の全てに装飾が施されていたんだよ。腕のある彫刻家に作らせた彫刻の全ても、現在のように真っ白ではなく、鮮やかに彩られていたんだもんね。
天井の奥のほうに、煉瓦がむき出しになる前の装飾がほんの少し残っていたりしてました。当時の美しさは圧倒されるものだったと思う。
ここは図書館だったっけ。
私がビクトリアに帰ってきた夜、夢のなかで、真っ白なヴィラ・アドリアーナを歩いていた。これだけのものを創り上げた力量も当時のエンジニアもすごいけれど、これだけのスケールのヴィラを細部まで設計してしまったハドリアヌス帝のビジョンには、ほとほと感動してしまいました。
↓これが寝室だったかなー。一つ一つの目的の違う部屋が、部屋ではなくて「建物」だから…ここからお風呂場まで歩いて20分はかかるよ。
で、これ(↓)は「テルマエ・ロマエ」でも出てきた「堀に囲まれたミーティングルーム」。ハドリアヌス帝の許可を得た者のみが入室を許されたそうな。
丘の上に、Tivoliの村が見えました。
長くなってしまいましたが。歴史が好きで人ごみが苦手で、家族連れででかけたい、というひとにはオススメのヴィラ・アドリアーナ。私たちも途中、原っぱでピクニックをしたよ。この日は少し薄曇りだったけど、晴れている日はそれはそれは見晴らしの良いスポットです。
相方が読み終わったら、「ハドリアヌス帝の回想」を読んでみたいと思います♪
テルマエ・ロマエーーー!!私映画しかみてないんですけど、こうやってみると本当に古代のローマ人はすごいですね、オンドルがあるなんて最高だなぁ。
なんだかピザも食べたいし、温泉にも行きたくなってきましたよ 笑)遺跡めぐりいいですよね、私もいつかローマ行ってみたいです。
Shinoちゃん、こんにちは。
へーっ。映画みたの?あれってどんな風に映画化されたんだろうって、漫画を読みながら不思議に思ってたんだよ。良かった?
古代ローマの人たちの生活や持ち合わせた文化的な知識や技術、知れば知るほど興味も深まります。かえってきてからあれこれ読みたくなってます〜。北欧からならイタリアもそれほど遠くないよ!うらやましい〜。ぜひ、ぜひ、行ってみてね!
いいなぁ、世界史大好きのぼくは
写真とpapricaさんの解説をよみながら、ひたすらうらやましがっている。
「テルマエ・ロマエ」がでてくるところでは、その都度にんまり。そして、本棚からギボンの『ローマ帝国衰亡史』を取りだして、久しぶりに読み直そうとしています。
子供の頃から世界史が大好きなんです。いまも本棚には歴史の本がけっこうあります。
犬も歩けば歴史にあたるイタリア。次の記事が楽しみです。
asoboさん、こんにちは~。
世界史にも詳しいんだね~。私は最近になって初めて歴史というものに興味を持ち始めたクチです。。。中学の頃は苦手で…世界史なんて何が何だかさっぱりなんだよ(恥ずかしい)。
でも、うちの父がローマを始めとする世界史にものすごく興味があって、ギボンの『ローマ帝国衰亡史』も何度か読んだみたいだし、去年は塩野七生のローマ人の物語を全巻読んで、ローマに行きたいってうなってます。イタリア語の勉強も始めたらしいよ。気合はいってるでしょー。
私も今回はじめてイタリアを見て、歴史を知りたい!って感じたよ!アマゾンで早速数冊オーダーしちゃいました。
こんばんは^^
ローマの歴史…何日かかってしまうでしょうか
なので私もテルマエで勉強しました(笑
おトイレはありませんでしたかっ!??
大浴場…朽ちかけてる感じがちと怖いですが@@
すごい森の中(丘?)にあるんですね~
きっとお風呂から綺麗な星が見えたんでしょうね^^
フォレさん、こんにちは~。
テルマエ・ロマエ、すごい人気だったらしいね。映画化もされたんだよね~。
これだけの遺跡を維持していくのって、本当に大変だと思う。この日は祝日だったのに、入園料はただだったし(祝日だからだそうです。。。)、ツーリズムだけでの収入ではイタリアの全ての遺跡や美術館を維持していくことは難しいんだって。
別荘っていったって、小さな街だからね~。森があって、見晴らしがよくて… 素晴らしい設計だったよ。
こんにちは^^
先日のおいしそうなピザの写真に羨ましい~と悶絶しましたが(笑)こちらの遺跡もかなり羨ましいです!
テルマエ、、、はまってDVDも買いました(笑)
ローマまでなかなか行けませんが、ローマ帝国が侵攻したイギリス、各地にローマ時代の遺跡が残っています。
もちろんロンドンにも遺構が今もありますよ。
ハドリアヌス帝といえば、イングランドとスコットランドの国境にハドリアヌスの長城があります。イタリアから遠く離れたイギリスにこんな大きな建築物を作り上げたなんて本当ローマ人ってすごかったんですね。
ハドリアヌス帝の豪華な別荘、私も見てみたいな~!
やっぱりテルマエを読んでるんでお風呂の遺跡が一番気になりました^^
Saoriさん、おはよー!
あははっ。テルマエ・ロマエのDVDまで持っているなんてっ。映画化されたのを聞いたときは、一体どんな風に撮影するんだろう、出演は?…などなど興味津々だったよ〜。面白かったですか?
そうですよねー。ハドリアヌス帝の頂上はそちらの方にあるんですもんね。マシモも、古代ローマの建築技術は現代残っている世界の建物のあちこちに反映されているんだって、言ってました。本当にそのとおりですもんねぇ。
でも、ハドリアヌス帝のあのお風呂は One of the kind…だと思いました。あの浴室の壁が全て装飾され、彩られていたんだって想像するだけで鳥肌が立ちそうでしたー。
Saoriさんならこの遺跡、すっごく楽しめると思うなぁ。一日かけてゆっくりと♪ 約2000年の昔にタイムトリップした気分になりますよー。