最近また夢をよく覚えている。
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車のタイヤを冬用のスノータイヤに交換するサービスを広告で見つけた。私の運転する車(夢の中の)は古いピックアップトラックだった。軽トラよりも少し大きくて、赤いペンキが剥げていた。早速、その広告に載っていたところに行ってみた。
雪がちらつく薄暗い午後。
車の修理場のような大きなガレージで、前に「スノータイヤ交換!今ならお得!」という立て看板が見えた。
それが何故お得なのかというと、そこでタイヤを交換するともれなく「一週間パピーお試しサービス」がついてくるのだ。そのガレージの奥に大小さまざまな子犬たちがわらわらとしていて、自分で一匹好きな子を選び、連れて帰って一週間一緒に過ごすことができるという。楽しいじゃないか! 犬と暮らしてみたい、もう一匹迎え入れたい、というひとたちが、コミットする前に「お試しわんこライフ」を経験できるなんて。
この他にももう一つ「お得」がついてきた。それはですね、タイヤ交換が終了するまでの間、「イタリア語のテキストブック」を借りれるという。これの「お得さ」は、借りれるテキストの全てに「ポイント書き」がしてあったり大切なところにハイライトがされてある、ということ。今思い返すと、そんなもののどこが「お得」なのかという感じだけれど、並んでいるテキストの初級編を手に取り、パラパラとめくってみて「おおおっ、これはすごい!」と、お得感でときめいた。
私は大きな白いパピー、グレートピレニーズ、を選んだ。かわいいっ!ふっわふわでぽてんぽてん歩く。この子ならチューイと仲良くできそうだと思った。それから、伊語初級テキストをカバンに入れた。
自分のトラックを預けるので、帰りは「タイヤ交換サービス所」のトラックを借りて家に帰ることになる。貸してもらえたのは、ポンコツの軽トラ。荷台に白い大きなパピーを乗せて帰るのだけれど、ひとりじゃない。どういうことかというと、そのサービス所のスタッフが私と一緒に乗ってきて、そのひとがまたそれを運転して帰るというわけ。で、私のトラックのタイヤ交換が済んだら、またスタッフが迎えに来てくれる。
とにかく。
雪が強く降り始めた中、ポンコツトラックで家路につく。スタッフは80年代のチンピラの様な風貌の若者だった。安っぽいブリーチをかけたパーマ頭で細く、姿勢が悪い。彼が運転するものだばかり思っていたら、「さ、どうぞ。」と言って運転席のドアを開けた。なんでワタシが運転するんかな。。。
しかも、ワタシが運転を始めると、その若者はまるで自分が教習所の教官であるかのような厳しい口調に変わった。だもんだから、私も緊張してきて、曲がるべきところで曲がらずに随分遠回りをしてしまい、おまけにいつもは徹底して避けていた細い道に入ってしまった。若者は前のめりになって行き先を確認し、「いつも通っている道なんでしょ。もっと自信をもって走るんですよ。ためらっちゃいけないんです、こういう細道では!スーーッと行きましょう、さぁっ!」と言った。
なんとか家につき、白いパピーは荷台からぴょんと飛び降り、チューイと絡まって走り回り始めた。ホッとする。
そこで気付いた。お得な伊語のテキストがない。確かにカバンに入れたのに!
運転席のドアを開け「それじゃ」と軽く頭を下げた若者に、テキストが見当たらないことを伝えた。「そういうことなら、乗ってください。おそらくタイヤも交換できているでしょう。」と言う。えーーーっ。
彼が運転し、私は助手席に。雪の降る夕方、またタイヤ交換所に向かった。なんとも言えない「うーーーん。。。」という気分で。
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というところで目が覚めた。
なんとも言えない、うーーーーん。だったなぁー。 白い大きなパピーはとてもかわいかったけど!