地元で観光:一休寺と観音寺

さてと。リポートあとほんの少し。お付き合いを〜。

金閣寺で人の多さに驚いたのと、相方がちょっと体調を崩したこともあり、一日はのんびりと母と末の妹と一緒に地元の観光をした。名づけて(?)「どっぷり京田辺めぐり〜」。

うちの実家は京田辺市の松井山手。松井山手の駅が新しくできたときに、名前の候補として上がっていた一つが「一休寺駅」(←ちょっと違ったかもしれませんが)。そうなの〜。あの「とんちんかんちん一休さん♪」の一休さんに縁のある地。駅前にはほうき持った一休さんの像があるヨ。

晴れた土曜日の午前中。一休寺 酬恩庵。地元の人はみんな「一休さんのお寺」って呼んでます。秋になると真っ赤な紅葉が小道の両側を彩ってくれるので、「紅葉寺」とも呼ばれているらしい。

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誰もいなかった。

一休寺は、鎌倉時代に臨済宗の高僧大応国師が建てた禅寺。それが兵火で荒廃し、1456年に一休さん(一休禅師)が再興したんだって。一休さんは各地を転々とされたけれど、常にこの酬恩庵が拠点だったそうで、晩年はずっとここで過ごされたんだって。

檜皮葺屋根の「虎丘庵」の曲線がとってもきれい。この隣には一休さんのお墓があって、そちらは瓦屋根だった。

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こじんまりとしているけれど、隅々まで手入れが行き届いた庭園。

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この一休寺でも、相方が「ここに一歩入ると何かが違っている」ってつぶやいていた。外の世界とは全く違った空気が漂っていたよ。龍安寺のところでも書いたのだけれど(コメントだったかな)、不思議な「エネルギー」というと何か線状に「向かってくるもの」「肌にぶつかってくる力」、のように聞こえる。そうではなくて、そこに「在って」自然と肌に「浸透してくる」ようなもの。頭の天辺からつま先まで冷水がさぁ〜っと流れていくような感じ。そして言葉が不必要になる。

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小さな空間に差し込む光と影のどちらにも混じりけがなくて。こうして眺めているだけで、冷水に指先をすっとつけてみたように嬉しくなって背筋がすっとする。不思議。

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誰もいない方丈。南面には枯山水の庭。

一休寺

私たち4人だけが縁側に座ってぼぅ〜っとしました。このお庭に面した部屋の奥に、一休さんの像が座っている。なんでも自らの頭髪と髭を植えた(?)らしい。

一休寺

一休さんが再興したときから数えても550年以上ここに存在してきたお寺。相方がそのことを何度も繰り返して言っていた。その昔から、きっとこの不思議な「空気」は変わらずここに在ったんじゃないかなって。

ほら、一休さん♪ 一休さんはとても小柄なひとだったんだってね。あ、そうそう、それから一休さんの燃えるような愛の話、知ってますか? 応仁の乱で京都が戦場になったとき、一休さんはこの酬恩庵に逃げ込み、その後、大和、和泉を巡って、住吉に仮住したんだって。その住吉で盲目の遊芸人「森女(しんじょ)」に出会うの。一休さんはこの森女を後に酬恩庵に呼んで、同居し始めたんだって。一休さん78歳、森女さん30歳代。一休さん筆の「狂雲集」には、二人の性愛の様を大胆に描いた詩が収められているんだってー。「狂う雲」かぁ。一休さん、やるぅっ!

一休寺

一休さんを見る目が変わったところで。

 

近くにある「観音寺」にも立ち寄ったよ。

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菜の花の広がる田園風景の中、ぽつりとひとつお寺の本堂あり。これが観音寺。大御堂とも呼ばれるそうです。今から約1300年前に天武天皇の勅願で建てられたんだって。その後、火災や兵火で焼失するも、藤原氏の帰依で再興されてきたんだって。その理由は、この観音寺は藤原氏の氏寺「興福寺」の別院だったから。この小さなお寺には、744年に安置された国宝の「十一面観音菩薩立像」が今も変わらずいらっしゃる。中の写真は撮ってはいけなかったのだけど、それで良かった気がした。じっくりとお顔をみせてもらいました。

観音寺につくと、離れにある住職さんのドアベルを鳴らすのね。すると住職さんが出てこられて、本堂を開けてくださる。で、お焼香やろうそくに火を灯して、この十一面観音様についてのお話をしてくださったよ。この十一面観音様は、私たちの苦難を救ってくださる観音様のうちでも、特に優れたご利益があるんだって。「四種功徳、十種勝利」って言うんだって。常に私たちと共にあって、無病息災、不時の災難を逃れさせ、様々な願いを叶えてくださるそうな。

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相方にとって何よりの驚きだったのは、奈良時代の観音菩薩像が(本物が)、こんな田んぼの真ん中のお寺に祀られていて、住職さん一人が責任をもってられて鍵一つで本堂を開けて、周りには鉄格子とかセキュリティカメラもない、そんなところに安置(?)されていること。。。これが信じられなかったみたい。北米だったら。。。スプレーペイントかけられたり、頭だけ持って行かれたり、。。。するよね。わかるわかる。

そうそう、↑の写真の右側は、般若心経の「絵心経」。文字を読むことができなかった人たちのためのもの。面白いよ。例えば「摩訶般若波羅蜜多心経(まかはんにゃはらみたしんきょう)」の波羅のところは「相撲取りのお腹のような絵」で置き換えられていたし(笑)。我が家は天台宗なので馴染みのあるお経です。

いつかまた、訪れてみたいな。地元もなかなか味のあるお寺があるものです。相方も、こんなところは知っている人がいなきゃ見ることができないもんね、と、心から喜んでいたよ。

おまけ:一休寺でパルプ・フィクションのポーズをする妹よっちゃん。全く意味はありません。

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「地元で観光:一休寺と観音寺」への10件のフィードバック

  1. 人でいっぱいよりこ~ゆ~のんびりしたところがいいなぁ。
    パルプフィクションのあのダンスのシーン、よかったよね。
    あのシーンがまた見たくなった。

    1. asoboさん、おはよう~。
      だ~~れもいなくて、ひ~~っそり。それでも、一休寺を一通り見終わったところでどこからかおばさん(管理人さん?)が出てきて、一休さんがこよなく愛したっていう特別な納豆(すごく塩辛くて長い時間かけて発酵させたものみたい)を出してくださったよー。
      うんうん、パルプ・フィクションのあのシーン、大好き!DVDコピー持ってるよー♪

  2. 一休さんったら・・・!<老いらくの性愛
    ちょっとびつくりしました。・・・が。妻帯を禁じる宗教ってろくでもないと
    思います。やっぱり、妻や子や孫への普通の愛情こそが、宗教心に
    繋がると思うので。個人的な意見ですけど。

    金閣寺の人ごみと比べて、なんという静謐さでしょうか。
    絶対、こっちの方が深い気持ちを受け取れるでしょう。
    相方さんにはぴったりでしたね。

    欧米の教会巡りも、興味のない人には最初の3軒くらいで飽きちゃうのと
    同じで、日本のお寺や神社も飽きが来ると思うんです。地元にこんな
    すばらしいお寺があってよかったですね。^^

    北米って一括りにされがちだけど、私のイメージではカナダはアメリカと
    違って、治安もよければレイシズムもあまりない穏やかで清潔な感じ
    なのですが、やっぱり治安は悪いのかしら?カナダでさえ、自販機は
    野中には置けないほど?ちょっと興味があります。教えてね。

    1. 真木さーん、こんにちわ~。
      私も今回初めて、この一休さんのスキャンダラスな晩年について知ったんですヨ。あとで調べたら一休さんは森女さんには、「三世を約束する」ほどの深い恩愛を抱いていたらしいです。ただの情愛ではなかったのかなー。ほんと、私も真木さんに同感。宗教が理由で自分の家族をもてないなんて、本質的な愛を経験すること無く一生を終えてしまうんじゃないかな、って思いますが。一休さんがなくなったあと、森女さんはどうされたのでしょう。

      相方はすっかり一休寺と観音寺に感動していました。特に観音寺の観音菩薩さんの美しさにうっとりと。それがあんな「ローセキュリティー」な建築物に眠ってられるっていうのが、まったくもって理解できなかったみたいです。相方はもともとアメリカ(カリフォルニア州)出身なので、カナダよりもアメリカの実情を背景に感想を言っていたのかもしれないですね。
      カナダでも大きな街では危ない地域があって当たり前なのですが、それは日本でも同じかな。でも、アメリカのように、毎週のごとく公の場で人が撃たれた、っていうことはないですね。アメリカと比べたら治安もいいし、人はフレンドリーで穏やかだと思います。あ、保守的でもあります。自販機を野中においたら。。。ティーンがスプレーで落書きしそう。。。建物の中にあったら大丈夫だと思うけれど。。。

      1. なるほど、なるほどね。

        同じ北米と言ってもアメリカとカナダは水と油なイメージだったのです。
        たとえばカナダはイギリス同様国民保健が完備されている、アメリカは
        高額の医療費がかかる、銃規制もしっかりされていて、銃による犯罪も
        少ない(アメリカと比べて)、同じような移民の国なのにアメリカのように
        反目し合わない、受け入れる。。。というように、隣国なのに似たような
        歴史の国なのにまったく違うという感じ。
        なんでかしらね・・・。

        ただ、この先一定の国からの移民が急増することで、カナダ社会の
        バランスも難しくなるかもしれないですね。

        カナダは一度しか訪れたことがないですが、将来的にまた行きたいです。
        教えてくれてありがと~^^

        1. 真木さん、こんにちわー。
          真木さんのご想像のとおり、アメリカに比べるとカナダはずっと住みやすい国です。貧富の差も、アメリカのように恐ろしくないし(今のところ)、国民保険や社会保障制度も「まとも」だと思うよ(アメリカと比べると!)。移民は多いけれどね。でも、移民の内訳がアメリカと違うかな。特に西海岸の方では、移民の大半が中国系かインド系。ラテン系はすごく少ないです。この中国系移民が最近困り者です。。。中国国内に財産を置いておきたくない金持ちの中国人たちが、コチラに来て土地や不動産、ビジネス、資源を買い上げてしまってる状態。家の値段が上がってしまって、まじめに生活してきたカナダ人たちは家も買えなくなったりね。こじんまりとした味のある家がぶち壊されて、敷地いっぱいまでの大きな箱のような(ピンク色してたりする)家を立ててしまうのもこの人達… 「景観」という観念がないのでしょう。難しい。

          ま、選んだのがカナダで良かったなーって今のところは喜んでいますが。この先のことはわからないですネ。

          あらぁ~、真木さんっ、カナダみたいに歴史の浅い国にも興味あり!なのですね♪ わぁ~い。その際には是非お知らせくださいねー。

  3. こんにちは~京田辺のお寺巡り、とってもいいですね!
    こういう観光地化されていない場所の方が、かえって見応えがあるというか、静かに自分のペースで見られるので落ち着いてお寺鑑賞も出来るなあ、って思います。
    一休さんのお寺があるんですねえ!子供の頃一休さんのアニメを見て、私もこういうとんちが考え付けるようになりたいなあ、って憧れていました(笑)
    しかし老いらくの恋、と言うか性愛ですかっ(汗)いやぁ、、、一休さんって子供時代から老人まで、やっぱり一般の人とはちょっと違っていたんですね。だからこそ後世まで名前が残ったのかなあ。
    相方さんが仰るように、知る人ぞ知る的な場所を訪れることが出来るのって、幸せな巡り合いですよね。
    私もお寺さん巡りしたいなあ、、、

    妹さんのパルプフィクションポーズ、カッコよく決まってますよっ!^^

    1. Saoriさん、いつもありがとうございます!
      京田辺の辺りには、田んぼや畑も残っているんです。そんな中に昔と変わらないお寺さんがあるのは嬉しいことです。こじんまりとしていて、一休寺に行けばそれだけ(そこから歩いて見て回れるものはないです)なのですが、ぼぅ~っと時の流れを忘れるのには良いとろこです。相方も喜んでいました♪
      私も一休さん、大好きでしたー!あれ、週末に再放送してましたよね~。でもあの「とんちの一休さん」は後で創られた話なんだそうですよ。で、老いらくの恋の方は実話だったそうな。色々と読んでいると、周りから「エロ坊主」呼ばわりされていたとか。。。(笑) 人間らしくって、こういう話、私は好きです。

      妹よっちゃんはおだてるとやってくれますね。末っ子ってこんなんなんでしょうね~。

  4. 京田辺市って京都にも奈良にも接してるんだね!
    一休さんのお寺さんか~
    子どもの頃、アニメはよく見てたよ。
    静かで華美でなく丁寧にお手入れされているように見えて素敵なお寺さん。
    色のあるお花は少なそうなのはワビサビを愛するご住職なんかなぁ。
    京都の大混雑した有名所も地元の静かな名所も、どちらもニッポンらしいよねー
    海外みたいに2〜3週間の休暇を取れる訳じゃないニッポンの就労状況を考えれば
    旅行をしやすい季節や土日に人が集中するのも仕方ないかも。
    絵文字のお経、面白いね〜
    写経をしてみたいと思っていながらなかなか実現しなくて。
    papricaさんの写真は黒がキレイで、日本の建築物の美しさが引き立つね。

    1. a-ki_laさん、コメントありがとうね。
      PC、元気になってもどってきた?a-ki_laさん、iPadも使うなんて知らなかったよー。
      そうそう、京田辺って、京都にも奈良にも出て行きやすいよ。もともとすんごい田舎だったのに、今はコストコができたりしてずいぶん開けちゃった。一休寺や観音寺以外にも、京田辺には知る人ぞ知るスポットがあるんだってー。こういう地元のお寺さんや神さんの存在にも、相方は感心してたよ。a-ki_laさんの地元にも猫さんたちが住むお寺や神社があるもんね。一休寺には小さな椿のみだった。あとは秋にもみじと楓の赤。苔もなかなかきれいだったよ♪ 

      へ~!写経?! えーっとそれって筆と墨で書くんやんね? へぇ~、すごいなぁ。やってみたいって思うのがすごいよ。また感想を聞かせてねー!
      私のカメラもずいぶん歳をとってきたけれど、まだ頑張ってくれているよ♪ ありがとう。