Goodies#331: 救助の朝

朝の散歩から戻ってくると、いつも、裏口に回る通路の手前でGusをリードから離す。するとGusは一目散に裏庭に走って行って水のバケツに顔を突っ込む。…というのが、お決まりのパターン。

ところが、今朝は通路の途中でうろうろし、懸命に何かを匂っていた。「なんだなんだ、また猫か狸のうんちをにおってんじゃぁないだろねぇ」と近寄って見ると。

小鳥。ヒナが、私たちが通路に張っている「ディアーネット(鹿が庭に入ってくるのを避けるためのアミ)」に足と尻尾をからませてバタバタとしていた。あらら。かわいそうに。Gusに食べられる前でよかった。とりあえず、ほっ。

コマツグミの雛(↑レスキュー後の図)

どうやらRobin・ロビン=コマツグミのヒナ。まだ小さいけど、胸のあたりがほんのり色づいてきているのがわかった。春になると、この辺りではこのアメリカンロビンが巣作りを初め、早朝と夕方に歌を歌い、卵を産んでヒナを育てる。このちっちゃいのは、多分、巣立ちの練習をしていて落っこちたのでしょう。で、よちよちと歩いていてネットの裾に引っかかってしまった様です。

まずは、興奮気味のGusを家の中に放りこみ。

ヒナは私が手を近づけると、上を向いて黄色い大きな口を開けた。

コマツグミの雛

「威嚇(いかく)」というのではなく、おそらく、「ミミズおくれ」という意味で口をあけているように見えました。『ごめんよー、エサじゃないんよー。今、放してあげるよってねー。』と、彼を片手にのせてハサミで絡まっているネットを切ろうとする私。そのハサミが体に触れるたびに「ぎゃー。ぎゃー。ぎゃー」と叫ぶヒナ。

我が子の叫びを聞きつけたパパロビンとママロビンが、私の頭のすぐ上を飛び交い、これまた、今まで聞いたことのないような鳴き声で叫び続ける。ったく、近所のひとが目を覚ますってば。

コマツグミパパロビンと。

コマツグミ

ママロビン(?)。雄の方が頭が黒くって胸の色も鮮やかだそうです。

なんとかかんとか、アミを取り外し、ヒナをネットから離れたところに置いてみた。

コマツグミの日な

呆然とした様子で、声を出すこともなく、じっとしていた。

パパとママは、已然、頭上でギャーギャー叫んでいる。ヒナを指さしながら、上を見上げて「ほらっ、ここ、ここ。ここにベイビーがいるよー。ここやって。ここー。」と言ってみたけど、鳥は人間の「指をさす」の意味が全くわからないようでした。どうしたものか。家の中に連れて入って、休養させようかとも思ったけど、そんなことをしたらそれこそ、パパとママが狂ってしまうだろう。

…ということで、ヒナをその場に置いておくことにした。頭の上では、このヒナの兄弟らしい小さな鳥たちが、枝と枝の間をピョンピョンと飛ぶ練習をしていた。…ということは、きっと、このヒナだってやる気を出せば飛べるのでしょう。

20分ほどして外を見てみると、ヒナも、パパもママもその場から去っていました。

ほっ。なんともドラマチックな朝でした。