ウフィッツィ美術館を見学した翌日、もう一つ美術館を見る(ピティ宮殿)予定だったんだけど、宗教画でお腹いっぱい胸いっぱいになった私達は、あっさりそれをキャンセル。代わりにフィレンツェの街から8km北東にある「Fiesole・フィエゾレ」に行った。郊外の丘の上にあるフィエゾレまでは、市バス#7に乗り、終点で降りれば良し。普通のバスなんだけど、どんどこと街を抜けて丘の上まで上がっていく途中の風景も、私達にとっては新鮮で楽しかった♪ 「住むなら南に面したこの斜面がいいね~、ここならGusも住めるかな~」などと妄想をふくらませながら。
実はフィエゾレは、相方のイタリア人のお爺ちゃんとおばあちゃんが新婚旅行で訪れた場所。それもあって、見てみたかったのでした~。 …と、バスを降りた私達、「で、フィエゾレって見どころは何なんだろね?」と、バス停のベンチに座ってぽっか~ん。ツメがあまくって… フィエゾレの観光スポットからはフィレンツェの街を一望できるらしいんだけど、そのスポットがどこなのかもよくわからず。とにかく丘の上まで歩かなきゃいけないらしい。とびきりいいお天気だったんだけど、バス停からフィレンツェの方角を見ると、霞がかかってぼんやーーりとしか見えなかった。
そこで、北側の道を3分ほど歩いたところにある「遺跡(Fiesole Archaeological Site)」を見てみることにした。これがね、とっても素敵だったよ~。エトルリア人とローマ人の遺跡の2つが合わさって、のどかな公園のようになっていた。
丘の斜面を利用して作られた「Roman Theatre (劇場)」。何度か修復されてきたけれど、元々は、ローマがエトルリア人を征服した紀元前1世紀ごろに自然の岩を削って作られたんだって。
東側には大きな「浴場」。草が生えてしまっているけれど、スケールはよく分かる。
お風呂は、屋外と室内の両方あったようです。前回の旅で「ハドリアヌスの遺跡」の浴場を見てぶったまげたけれど、ほんと、規模がすごいのね。普通のお風呂、スチームバス、そして最後にはいる(毛穴をふさぐため)冷たいお風呂。娯楽と社交の場だったんだろうな。
ぽっかぽかのお天気で、本当にのどか。人も少なくて、ゆ~っくりと歩きながら2000年前の様子を思い浮かべて。こんな風に遺跡になっちゃったけれど、当時、お天気のいい秋の日はこんなふうだったんだろうな~ってうっとりしながら。とろけそうでした。
浴場の西側には、エトルリア人の寺院(?)と墓(?)の「跡」がごろごろとした状態で残っていた。
紀元前7〜8世紀に、現在のトスカーナの辺りで文明を築いていたエトルリア人の豊かな文化には、目を見張らずにはいられない。多くの文献は残っていなくて、ミステリアスな面がたくさんあるそうです。この遺跡の一角には美術館があってね、この遺跡を含め、フィエゾレで発掘されたエトルリア人の工芸品や装飾品、装具などが展示されていた。本当に、本当に2500年以上も前にこれだけの装飾品を作る技術があったの?って、目を疑うよ。食器やアクセサリーや描かれている人物像などが、とっても繊細であってチャーミングなの。もし、機会があったら、是非、見てほしい。ローマには「Villa Giulia」っていう美術館があるけれど、そこはエトラスカン文化の宝庫です(←しかもガラガラに空いてます)。
積み重ねられた石の不規則性が、何故かとても心地よくて眺めてしまう。
一本道の両側に古いオリーブの木が並び、10月の終わりとは思えない光を浴びて、そこにいるだけで幸せだったよー。
石段に腰掛けて目を閉じてとろけていると、かさかさっという音がして。はっと見てみるとトカゲ。日光浴かな。
思いつきで行ってみたフィエゾレ。行ってみて良かった〜。観光客がいっぱいのフィレンツェの中心から離れ、気持ちのいいリフレッシュになった。
相方のおじいちゃんおばあちゃんも、私達と同じように夢見心地でフィエゾレを歩いたんだろうな。
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