もう三月。海岸で雌鹿に会う。

Happy Friday☆

3月が始まると、寒さがもどってきても気持ちはもう春。散歩中にも自然と春の印を探す。

朝、まだ薄暗いうちからロビンが歌うのが聞こえてくると、あぁ、またくるりと一年巡ってきたなぁと思う。嬉しいな。

昨夜は眩しいほどの満月だったので、海岸まで歩いて潮がどれほど大きくひいているか満ちているかを見に行った。

風が起こす波ではなくて、勢い良く満ちていく潮の音が聞こえた。

心地いい。

ストレスのたまる職場ではないけれど、金曜日の午後になると「unwind」したくなる。一週間のうちに体の中とか心の中に小さな「knots」(結び目・団子結び)ができてしまうようで、そういうのをほどきたくなる。わかるかなぁ。

今日の波音は「ほどく」のにぴったりだった。

すっかり気持ちよくなって海岸を歩いていた。大きな岩があり、流木が打ち上げられている。いつもその上を歩く。数歩先に新しい流木が斜めに打ち上げられているな、と目の端でとらえた。

流木じゃなかったの。それ。

雌の鹿だった。ぎょっとして息がとまりそうだった。

雌鹿は全身ずぶ濡れで、とても寒そうだった。目を閉じ、頭を大きな岩の上にのせ、体全体でもたれかかってぐったりとしていた。耳に黄色いタグをつけていた。

咄嗟にGusにリードをつけて後ずさりした。まだ生きているけれど、おそらく死んでしまうだろう。Gusの綱を短く持ち、静かに雌鹿に近づいて鼻先に手をあててみた。鹿の鼻に触れたのは始めてだ。目を開け立ち上がろうとしたので、ごめんなさいと思い、私たちはまたそっと後ろに下がった。どうすることもできないのにすぐにその場を離れられず、ずいぶん戸惑った。何かをしてあげたくて、ふとよぎったのが「Gusのクッキー食べるかな」だったことに自分で呆れてしまった。

早足で家に帰ってすぐにAnimal Controlに電話をし、死んでしまいそうな雌鹿を見つけたということを伝えた。「残念だけれど、その状態の鹿はもうどうすることもできないです。おそらく死んでしまうだろうし、死んでしまったあとでピックアップしにいきます。」と言われ、「あのままゆっくり死なせるのでしょうか?安楽死させる注射などはないのですか?見に行くだけでも見に行ってあげてください。」とお願いした。せめて毛布でもかけてあげてほしい、と思ったけれどそれは言わなかった。「あと5分でここを出るので、その後立ち寄って見に行きます。」と言ってくれた。

先日の嵐のときか雨の酷かったときに、海岸近くの崖かどこかで足を滑らせて海に落ちてしまったんじゃなかろうか。目を閉じたその雌鹿の顔はとてもきれいで不思議と穏やかだった。その表情のとおり、大きな痛みを感じていなかったのだといいのだけれど。アニマルコントロールのオフィサー、見に行ってくれたのだといいな。

今週末は野良仕事をするのだ。

良い週末を♪